「少し切りすぎただけ」と思っていた深爪が数日後には腫れや痛みを伴い、思わぬ炎症へとつながることがあります。深爪は軽視されがちですが、実は炎症や感染のリスクがある行為です。この記事では、深爪が原因で起きやすい炎症やその対処法、予防のために意識したいケア方法を解説します。
深爪で炎症が起きる理由とは
深爪とは、指先の皮膚や爪のピンクの部分(爪床)が露出するまで短く切ってしまった状態のことを言います。深爪になると爪にある本来のバリア機能が低下し、外部から細菌などが侵入しやすくなります。これが深爪で炎症が起きる主な原因です。
特に爪周囲の皮膚が傷ついていると、手指をよく使う仕事や家事をしているときに感染リスクが高まります。さらに、深爪は新しく生えてくる爪の形にも影響を及ぼし、成長とともに皮膚に食い込みやすくなるため注意が必要です。また、外部からの刺激や圧力が加わると、炎症を引き起こすきっかけにもなり得ます。
深爪が原因で発症する主な炎症3つ
深爪が原因で発症する主な炎症は以下の3つです。
①爪周囲炎|爪のまわりが腫れる
爪周囲炎(そうしゅういえん)とは爪のまわりの皮膚に起きる炎症のことを指します。爪の周囲が赤く腫れ、軽い痛みや違和感を伴う状態です。主な原因は細菌感染で、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などが爪周辺の皮膚に侵入することで発症します。どちらも健康な皮膚にも存在する常在菌ですが、感染すると腫れや痛みを引き起こすため注意が必要です。
発症のきっかけはさまざまですが、手や足の指先を頻繁に使う方や水仕事に従事する方、指先を噛む癖のある方は特にリスクが高まる傾向にあります。他にも「爪の横のささくれを取ったら翌日から指が腫れてきた」などは爪周囲炎の代表的な例です。また、爪周囲炎の主な原因は細菌感染ですが、真菌感染(カビ)によるものは施術の方針が異なるため医療機関での対処が求められます。
②ひょう疽|強い痛みと膿がたまる
爪周囲炎に似た症状として「ひょう疽(ひょうそ)」があります。指先の皮膚が赤くなったり、腫れたり、痛みが出たりする点ではどちらも同じ。しかし、広がり方や症状の重さに違いがあるため正しく知っておくことが大切です。
ひょう疽とは指先の深い部分にまで感染が及んだ状態を指します。主な原因はブドウ球菌(60〜70%以上)、連鎖球菌(約5〜10%)であり、これら2種の混合感染もみられるとのこと。どちらも爪周囲炎に関連する細菌ですが、ひょう疽の場合は感染が皮膚表面だけでなく皮下組織や腱鞘(けんしょう)・関節・骨にまで広がることがあり、より重症化しやすいため注意が必要です。初期症状は爪周囲炎と似ていますが、進行すると以下のような特徴が現れます。
- 強い腫れと激しい痛み
- 皮膚の色が赤黒く変化する
- 指が曲げにくくなる
- 発熱を伴う場合がある
適切な施術を受けずに放置すると指の動きに支障が出るリスクもあるため、自己判断は避け医師などの専門家に相談するのがおすすめです。
③陥入爪|爪が皮膚に食い込む
陥入爪(かんにゅうそう)とは、爪の端が周囲の皮膚に食い込み、炎症や痛みを引き起こす状態を指します。類似する症状として巻き爪(まきづめ)がありますが、これは爪の両端が過度に内側へ湾曲した状態を指します。巻き爪自体には必ずしも炎症が伴うわけではありません。痛みがない場合もあり、陥入爪とは異なる病態です。
ただし、巻き爪が悪化して陥入爪に進行するケースがあります。巻き爪と陥入爪は合併して発症する場合もあるため、区別しつつも互いに関連する病態であると理解しておきましょう。陥入爪・巻き爪は男女問わず10代から20代の患者さんに多く見られ、特に足の親指に発生することが多い(全体の約90%)と報告されています。
陥入爪が進行すると局所に赤みや腫れ、強い痛み、膿の排出などがみられます。さらに症状が悪化すると出血や傷が残る恐れもあるため、放置せずできるだけ早い段階で医療機関へ相談するのがおすすめです。
自分で治せる?炎症後の適切な対処法4つ
軽傷であれば自然回復を見込めますが、下手に触ると悪化する可能性があります。ここでは、炎症後の適切な対処法を4つのポイントに分けて解説します。
①自分で膿を出すのは避ける
自分で針や爪楊枝などを使って膿を出そうとするのは危険です。傷口から雑菌が入り、炎症を悪化させる恐れがあります。特に糖尿病や免疫抑制剤などの薬を使用している場合は細菌感染のリスクが高まるため注意しましょう。
②保冷剤などで患部を冷やす
腫れや痛みがあるときは、保冷剤や冷水を使って患部を冷やすことで、炎症を一時的に抑えることができます。ただし、冷やしすぎると血行が悪くなり逆効果となるため、短時間での冷却を心がけてください。
③清潔に保ち患部を保護する
炎症を悪化させないためにも、指先を常に清潔に保つことが大切です。患部に絆創膏などを軽く当て、外部刺激から守りましょう。水仕事をする際にはゴム手袋の使用も有効です。
④悪化する前に病院に相談する
炎症が2〜3日続く、痛みが強くなる、膿が増えるといった症状があれば、皮膚科や外科での診察を受けましょう。軽度のうちに適切な施術を受けることで、治りも早くなります。
深爪による炎症はどのくらいで治る?
深爪による炎症が治るまでの期間は症状によって異なります。
爪周囲炎などの軽度の炎症なら患部を清潔に保てば3〜7ほどで落ち着いてくるでしょう。しかし、炎症が進行して膿が溜まってる状態では回復までに2〜3週間以上かかることも珍しくありません。
深い組織にまで感染が広がると、切開による排膿や抗生物質が必要になり、さらに治癒に時間がかかるケースも見られます。また、陥入爪や巻き爪によって爪が皮膚に食い込んでしまっている場合、軽症なら数日〜1週間程度で改善しますが、炎症や感染が悪化すると2〜4週間以上かかることもあります。
ただ、これらはあくまでも目安です。痛みが強い・腫れが広がる・膿が出るといった場合には、放置せずすぐに相談することが早期回復につながります。
深爪による炎症を防ぐためにできること
深爪による炎症を防ぐために、日ごろの爪ケアを意識してみましょう。ちょっとした工夫で爪の周りにできる炎症を抑えられます。
爪の正しい切り方を知る
深爪を防ぐためには、まず正しい爪の切り方を身につけることが大切です。爪は指先と同じくらいの長さを目安に整え、切りすぎないように注意しましょう。
基本は、爪の先端をできるだけ直線的に切ることです。角を丸めすぎると、爪が皮膚に食い込みやすくなり、陥入爪(かんにゅうそう)を引き起こすおそれがあります。清潔な爪切りを使用し、切り口がギザギザにならないよう、やすりでなめらかに仕上げることも欠かせません。
【爪切りの手順】
- 爪を清潔にする
- 爪が柔らかいときに切る
- 爪の白い部分を目安に切る
- まっすぐに切る
- 切ったあとはやすりで整える
【爪切りのコツ】
- 少しずつカットして、形を確認しながら整える
- 手と足それぞれ専用の爪切りを使う
爪と指先を乾燥させない
手や指先が乾燥していると、わずかな刺激でも傷つきやすくなります。乾燥を防ぐためには、こまめに保湿を心がけることが大切です。特に水仕事の後は時間を空けず、すぐにハンドクリームを塗りましょう。手のひらや甲だけでなく、爪の生え際(キューティクル)や爪の表面にも丁寧に伸ばすことがポイントです。
【保湿の手順】
- 手や指先をやさしく洗う
- 水分をやさしく拭き取る
- 爪周りにも塗り込む
- 必要に応じて重ね塗り
【保湿のコツ】
- 少量ずつ、こまめに保湿する
- 爪専用オイルを取り入れる
- 夜のケアを習慣化する
広島周辺で深爪による炎症でお悩みの方はセラピストプラネットにご相談ください!
深爪のあとに赤みや腫れが続いても「これで病院に行くのは少し大袈裟かも」と感じることはありませんか。そんなとき、爪の専門家に気軽に相談できる場所があると安心です。
セラピストプラネットは、広島県内に複数の店舗を展開し、深爪や巻き爪など指先のトラブルに対応しています。特許取得の補正技術を活用した施術や医療系国家資格を持つスタッフによる丁寧なカウンセリングも特長です。
症状が気になるときはひとりで悩まず、ぜひ一度ご相談ください。
